マニフェストは何を変えたか

2016年02月09日

日本政策学校では、早稲田大学名誉教授/早稲田大学マニフェスト研究所顧問の北川正恭氏に、
「マニフェストは何を変えたか」というテーマで講義をしていただきました。
以下はそのサマリとなります。

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(※ご本人にご了承いただいた画像を掲載しております。)

◇はじめに

ネットの時代となったことにより、行政が大きく変化しつつあるなか、行政にPDCAサイクルを導入して、使った予算についての効果を検証した。

さらにこの手法を、政治の世界にも導入すべきであると考えた。そのP(プラン)する政治の原点は選挙公約であると考えて、マニフェストの導入を訴えた。マニフェストによって政権を取ったあと、実行できなかったら辞めるというサイクルのなか、政治家と有権者が緊張関係に置かれ、真の代議制民主主義が成り立つ。

今後、真のマニフェスト選挙が実現した時にこそ、政治はパブリックに奉仕する存在となるであろう。

◇ネットによる新しい時代と、PDCAサイクルの行政への導入
今、私たちは、行政の変化のただなかにいる。すなわち、地方が自己決定、自己責任に基づいて行政を行い、国を変えていく地方創生の時代となった。従来の書類の文化よりネットの文化になったことで、行政が、従来の縦割りから横展開し、究極的には回転型のシームレスな組織に変化しつつある。情報も、ネットによってすべて公表される。

かかる状況のもと、私は三重県知事在任中、使った予算がどのような効果をもたらしたかを検証しようと、PDCAサイクル(マネジメントサイクル)を導入した。これが国を動かして、「行政評価法」が成立したのである。

◇マニフェストという、PDCAサイクルの政界への導入

このPDCAサイクルという手法を、政治の世界にも導入すべきであると考えた。そのP(プラン)する政治の原点は選挙公約であると考え、選挙後における検証可能な約束、すなわちマニフェストを導入することを訴えた。

マニフェストによって政権を取ったあと、実行できなかったら辞める、また国民は辞めさせるというサイクルが生じる。

このような政治文化が今日、少しずつ芽生えてきている。

税収が右肩上がりだった時代は終わり、今や、社会保障費が破たんするのが確実である。したがって、政治の役割は不利益の分配へと変わり、税を支払う側が強くなるという背景のもと、選挙は情実から約束に変わり、そのツールとしてマニフェストが存在する。マニフェストはサイクルで回るので、そのサイクルの内に、現職の政治家には、実績を上げないと落ちるという緊張感が生じてくる。このように、政治家と有権者の緊張関係があってこそ、真の代議制民主主義が成り立つのである。

◇マニフェスト選挙の時代への期待

これからの政治家の当選の条件は、約束というマニフェストを提示することである。

マニフェストを作るには、一つの課題について徹底的に議論して、実行することである。マニフェストこそ、政治のイメージを変えてくれるのではないか。

また今後のローカル選挙では、政策マニフェストが主流となってくるはずである。

さらに、有権者の方からマニフェストを書いて、候補者に突きつけるということも起こり得ると考える。

このように、正真正銘のマニフェスト選挙の時代が到来するその時こそ、政治はパブリックに奉仕する存在として、尊敬を集めるものとなるであろう。

 (2015年11月4日に開催された、政策議論講義「マニフェストは何を変えたか」より)

■講師:北川正恭(きたがわ まさやす)氏
 早稲田大学名誉教授、早稲田大学マニフェスト研究所顧問
 1944年 三重県生まれ
 1967年 早稲田大学第一商学部卒業
 1972年 三重県議会議員当選
 1983年 衆議院議員当選
 1995年 三重県知事当選
       「生活者起点」を掲げ、ゼロベースで事業を評価し、改革を進める
       「事業評価システム」や情報公開を積極的に進める。
       達成目標、手段、財源を住民に約束する「マニフェスト」を提言。
 2003年4月 早稲田大学政治経済学術院教授
 2015年3月 退任
 現在 早稲田大学名誉教授、早稲田大学マニフェスト研究所顧問
 「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)共同代表