「参議院選挙を目前にして」/曽我豪氏

2016年07月21日

2016年7月6日、曽我豪氏による政策議論講義がありました。

以下、そのサマリとなります。

 

曽我

 

 

 

安倍政権は、従来の政権の単年度主義を脱却して、2期6年という時間軸を設定し、この時間のなかで、その都度ふさわしい選択により、やるべきことを決めていくようである。また、権力組織は柔軟な構造を採っている。

しかし、安倍・麻生両氏の対立も真実は封じられ、消費税増税の先送りについても、政権の今後を推し量る余地がある。

 このような状況のもと、今回の参院選のポイントは3分の2という改憲勢力がでてくるかということである。

 

◇安倍政権の特質(時間軸、やり方、柔構造)

安倍政権は、強かな政権であると思う 

返り咲いてよりわずか半年後に、衆参両議院を制するに至り、2期6年という時間が与えられた。

そして、従来の政権の単年度主義を脱却し、この2期6年を前提とした時間軸を設定した。

さて、6年の時間軸のなかで、安倍首相が真っ先にやりたいことは、

1=被災地対策 2=経済対策 3=憲法改正であるという。

これは、現実的にその都度よい選択をするというやり方である。

安倍首相は、祖父、岸信介元首相のやったことと、やり残したことを絶えず意識し、岸元首相のやり残したことをやろうという意志をもっているように、うかがえる。

さらに安倍政権の権力組織は、安倍首相のもと、麻生副総理と菅官房長官の二等辺三角形のように、柔軟な構造をなしている。すなわち、副総理と官房長官という閣内の二人が両論を対立させて、最終的に首相自らが決定するというやりかたを、この政権は意識的に行っている。

 

 

◇安倍政権の変質(安倍・麻生氏の対立、消費税増税の先送り)

安倍・麻生氏の対立があったらしいが、真実、何があったのかは封じられている。

現在でもこれを疑問として追及しているメディアは、どれだけあるのか。

また、消費税の増税を、さらに先送りするということは、この政権は時間軸の拡幅を考えているのではないのか。

 

 

◇今回の参院選の意義

今回の参院選のポイントは、3分の2の改憲勢力がでてくるかということである。

3分の2を獲得すれば、改憲に向き合う必要がでてくるので、3分の2を阻止する動きもあるが、これはしてはならない。

3分の2獲得により、55年体制の復活も懸念されるところである。

いずれにせよ、与野党のどちらに期待するというよりも、どのように変わってほしいかを考えていただきたい。

 

曽我2

 

 

◇質疑応答より

・将来的に強い党があらわれるには、どのような政策が必要か。

        ↓

オリンピックの後、ひとつの経済的なサイクルが終わると、脱原発、再生エネルギー、社会保障という政策において、

自民党は先頭に立つと思われる。それに取って代わる政策が期待されるが、全面的な対立でなく、一部の争点を

争うようにすべきである。

 

・メディアの情勢調査は、有権者の行動に影響を及ぼすのではないのか。

        ↓

まさしくその通りで、メディアに反省を促したい。国民を両極化せず両方を調整して、社内の少数意見も加味した紙面を作るべきである。

・固定電話による情勢調査は、対応する割合が低いので、信頼できるのか。

ネットによる調査の創設について。

        ↓

ネットも含め、すべてが仮説である。電話は面接による調査より、お金もかからず、何度でもできる。

・第三極に意義と、今後の必要性。

        ↓

第三極とは、野党第1党からはずれたものをいう。

これはずっと存在し続けることがないので、必要ではない。

 

 

 

 

曽我豪氏のプロフィール

曽我豪(そが たけし)

朝日新聞社編集委員

1962年 三重県生まれ。
1985年 東大法学部卒業。
同年、朝日新聞入社。
熊本支局、西部社会部を経て、
政治部にて自民党、首相官邸クラブを中心に文部省など内政官庁や労働組合を担当。
週刊朝日やオピニオン編集部も経験。
2014年 政治部長のあと、編集委員に復帰。
2015年から東大法学部客員教授。

 

講義データ(2016年7月6日に開催された、政策議論講義「2016年参議院選挙の意義」より)