今回、日本政策学校の理事を引き受けられたのには、 どんな理由があったのでしょうか?
私は長く自民党の議員の秘書をしてきました。 その中で痛感したのは、時代の変化に永田町がついていけていないことです。 政治が世の中を引っ張っていくべきなのに、常に後追いになった。
はっきり言えば、永田町の古い世代の慣習が、政治が時代にフィットしないように縛っているんです。 ルール化・文書化されていることはむしろ変えやすいものですが、 慣習のように染みこんでいるものはなかなか変えにくい。
その代表が、いわゆる「三バン(さんばん)」というものです。 地盤(支持基盤)、看板(知名度)、カバン(選挙資金)が揃わなければ 政治家にはなれないというものですが、今はもう根拠がない。 党だって候補者になるための必要条件とはしていません。
こういった古い慣習を、私はできれば永田町の中から改革してほしかったし、 実際にいろいろ議論もされたのですが、結果として変わってきていません。 せいぜい定年制が取り入れられたことくらいでしょうか。
3.11をきっかけに、いま多くの人が「政治が動かない」と感じていると思います。 でもそれは、動かない政治をそのままにしてきた自分たちがいたからですよね。 私は自分が具体的に行動することでここに関わっていきたいと思っています。
ただ、この政策学校にしてさえも、女性へのコミットメントが少ないように見えたんですね。 国民の半分が女性である国ですから、 女性のポジションを繰り返し繰り返し言っていかないといけない。
とくに政治の場にひとりでも多くの女性がいたほうがいいと思います。 その意味でも、私が永田町で経験した中で何がネックだったかなどを 伝えることはできるかもしれないと期待しています。
この学校で、とくにどんなことを学んでほしいですか?
議員と自治体の首長では仕事が違うので、私は国会で仕事をしていましたので 議員のほうについて申し上げます。 日本は基本的には政党政治で国会が運営されていますから、 政治家になりたいと思ったらどこかの政党に所属するのが近道ですし、本流であるわけです。
でも、とくに民主党と自民党という中核的な政党に入りたい場合、 まず議席が空いているかという問題があります。 そうなると選挙ありきの政治家しか育たなってくる。 どういう理念を持って意義を持って政治という方法でこの社会に関わろうとしたかということが、 希薄になりがちです。
もちろん選挙で勝たなければバッヂをつけられませんから選挙は大切ですが、 バッヂをつける前にあった理念がそれ以後どれだけ磨かれていくのか、 どれだけ有権者と対話して理念を深めていくのか、 そういうものが感じられなくなっていると感じています。 私はほとんどの先生方にはおそらくバッヂをつける前には理念は「あった」と思います。 でもそれが、初当選するまでに失われていく(苦笑)。
この学校で教えるのはそういう部分です。この現行の選挙のシステムが本当は問題ですが、 まずはその中で、社会をどうしていきたいのか、日本をどうあるべきだと思っているのか、 国民の声をそのために吸収してお互いに育み合って ひとつの形にしていく……そんな政治家像を作りたいのです。
ここも3.11でより鮮明に問われるようになっていると思います。 今までは、理念がない、政治家が何を目的にしているのかわからないと不満があっても、 「所詮社会ってそういうものだよね」と安易に納得しようとしていた部分も あるのではないでしょうか。
今こそそういった疑問をひとつひとつ拾い上げて付きあわせていく 日本を作り変えなければいけない。 でもそういった作業はなかなか個人では難しいので、 そういった場を提供しようというのがこの学校の使命だと思っています。
とくにどんな方に受講して欲しいというイメージはありますか?
個人として、社会にはいろいろな関わり方がありますが、 もし政治という角度から関わってみたいと思う方はとりあえず門戸を叩いてほしい。 まず行動を始めることが大切だと強く思っているためです。
政治家は特殊な人がなるものだと思っている方は多いですが……
たしかに特殊な部分はありますが、 それはあくまでも「社会を構成している人たちの代表になる」という部分においてです。 出自や門閥といった「三バン」の有無のことではありません。 人の上に立つという特殊な立場を認め、その上で国民の声を集約できる人に立っていただきたい。
ただし、その立場にはダイバーシティ(多様性)がなければいけないと思っています。 今の政治家の構成を見わたすと、欠けている世代があることに気づきますよね。 20〜30代の人が少なすぎます。そして露骨に少ないのが女性。 障がい者も必要です。そういう人たちにはぜひ加わっていただきたいと思っています。
また、政治というフィルターは、議員や首長のためだけのものではありません。 議員や首長はひとりで法律を作ったり政策を練ったりすることはできません。 情報や人々の意見をとりまとめるスタッフが非常に大切です。 これまでは国会議員がその力を十分に持っていなかったから、 霞が関に依存してしまった。情報を出してくれた人をその情報をもとに作った政策で 働かせるというのは難しいことですよね。
自分が出馬することはイメージできないけれど、 そのそばでアイディアを構成していく人間になりたい人も、ぜひいらしてください。 この役割にもダイバーシティは必須です。
もちろん、ここで学び、ご自分の社会に戻ってそこでその学びを活かすことも素晴らしい。 いろいろな角度からの出入りがあって積み上げがある政治でないと、 日本はいままでのやり方では乗り越えられないところまできていると思います。
そこにお役に立てる学校でありたいと願っています。
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